もし…このまま私が龍之介を育ててみたらどんな未来を過ごすのか想像してみたりする。

私が母親になる事。

子供なんか絶対に産まないと思っていたけど…龍之介を見て、世話していると想像できるなんて
不思議よね。

私が母親ならきっと子供を溺愛するわね。

絶対親バカになるの。

いいじゃん!なりたいな~親バカ!

言葉を覚えた龍之介はきっと生意気なガキになるだろうな。

それで私とケンカするの。もちろん私が勝つんだけど!

どんなに生意気でも頭悪い子でも、大切に大事に。めちゃめちゃ愛すると思うの!

───どんな風に出来た子だって

どんな理由で私の元にやってきた子だって

愛するし愛せるよね?

私が笑うと龍之介が嬉しそうに笑い返す。

その龍之介の柔らかい頬に、私の涙が溢れた。

「あ、ゴメンね!」

慌てて拭き取る。

私はいつも龍之介と自分を重ね合わせていた。

龍之介から見た私は、私の母親に見立てて。

笑ってくれたら、私は笑い返すし

愛してくれたら、私も愛した。

叱ってくれたら愛情を感じつつ反発して、母親が泣いたら反省と後悔を覚えて。


なのに、あの人は何にもくれなかったよ。