私が産んだワケでもないのに、龍之介を可愛いと思う。

おかしいかな?

仕事で新生児をみるのとはまた違う…自分に責任があるからかも。

昼間は面倒みてないし、龍之介に接する時間が少ないせいもあるけど…仕事から帰って龍之介の顔を見ると癒される。

頑張らなきゃ!って思うの。
…まるで父親ね。

自分で産む気はないのに。なかったハズなのに…ちょっと欲しくなるし。

龍之介をギュッと抱きしめて呟いていた。

「もう少し、私達の所にいてね…」

本当の母親には悪いと思うけど、しばらく龍之介と一緒にいたいの。

何か…私の中で欠けていた物を取り戻せそうな気がするのよ。





龍之介は笑顔で返事をした。




翌日、寝不足のまま仕事へ行った。

病院は昨日よりもマスコミで大騒ぎだったし、院内でも皆が事件の事を知って大騒ぎ。

噂話しや憶測が飛び交っていた。

皆は気軽に色々言ってたけど…事件の当事者や関わった人達、警察の人は少し違った。

犯人から何の連絡もない事──それが余計イラつかせていた。

私も、もちろん演技してたわよ?

我ながら女優みたいだったわ。

そんな中…
病院内に正己の姿はなかった。