彼の剣幕に圧されて、あたしはそう言ってしまった。

「あの、い、今のは…」

あたしがどうにもならない言い訳をしようとすると、彼は安堵したように息を吐いた。

「それなら良かった…」

「…なんで?」

彼の考えてる事が全然わかんない。
この人は一体どういうつもりなの?

「今はドコでどうしてる?誰かに預けてるのか?」

あたしの疑問なんか構わずに、自分の聞きたい事を聞いてきた。

あたしはもう諦めるしかなかった…

「人に見てもらってる」

「事情を知ってる人?それとも…共犯者がいるのか」

「…鋭いね。正解よ」

あたしは素直に答えた。でも琉嘉の事は話さない。
あくまでも…あたしが主犯だから。

「ちょっと安心した。誘拐して殺すのが目的だったのかと思ったから…」

「そんな事しないよ!ただ…虎之介に仕返ししたいだけで。ちょっとしたイタズラのつもりだったの」

「それにしちゃ…質が悪いね。もうすっかり誘拐犯だよ」

「あたしの事…警察に言う?マスコミに売る?」

「言っただろ、誰にも言わないって。約束する。もし破ったらマジで殺してくれて構わない」

「──どうしてそんな約束するの?貴方って…何者?」