「私にだってわかんないわよ。どうやら森島がマスコミに公表したらしいんだけど」

『虎が…』

そう言ってセリカは少し黙ってしまった。

「とりあえず帰ってから今後の事、考えましょ」

『うん。あとどれくらいで帰ってくる?』

「買物してくから…一時間後ね」

『ん。待ってるね』

そう言って電話を切った。

はぁ…
本当に困ったな…

帰る途中でも、買物しながらでも
ずっと考えていた。

赤ちゃんを、そこらへんに置いていく訳にもいかないし、かと言って他の『赤ちゃんポスト』に…って考えても

まだ日本には三つしかない上に、めちゃめちゃ遠かった。

龍之介を連れて行くにはリスクが高い気がするし…

このまま龍之介を手元に置いておくのも危険だし、育てるワケにもいかないわよね。

私は何度も深いため息をついた。

「RRRRR」

またバッグの中の携帯が鳴り出した。

──またセリカ?

「もしもし?!もう少しで帰るから!」

確認もせずに、電話に出るなり私は言った。…が、電話の相手は違った。





『琉嘉…?』





あり得ない電話。

──私の魂を揺さぶる声──…









「お、お母…さん…?」