──数十分。
赤ちゃんの処置をした。発見が早かったせいか、一命を取りとめた。

でも高熱で…意識が戻らない。引き続き経過を見る事になった。

私は…全然安心できなかった。
命が助かればいいってもんじゃない。

この子の両親に…何て言って謝ればいいの?もしかすると目を醒まさないかもしれないのよ?

こんな時は最悪な事ばかり考える。

「小西さんのせいじゃないわよ」

自分の見落としだったかもしれない──そう皆に謝る私に、周りはフォローしてくれた。

それでも自分を責めたくなる。
もしかして、赤ちゃんを誘拐する事で舞い上がってたのかもしれない。

ちゃんと仕事してた?

何でこの仕事してるか分かってんの?

責任感と緊張感を持って仕事してた?










  「バシッ!」


「!?」

明らかに誰かが誰かの頬を殴った音がして、私や他の皆も振り返った。

「何で早く報告しないんだ!!!!」

「…すいません。この子の容体の方が先だと思いましたから」

見ると…正己が坂本さんを殴り、怒鳴っていた。

──あの事を報告したんだ…

皆が皆、赤ちゃんの失踪を知っていたのだから…誰も何も言えなかった。