予想外な事はあったけれど、上手く赤ちゃんを連れ出せたと思う。

あとはセリカが上手くやってくれれば──

そう思いながら何も疑われずに仕事へ戻った。

多少…生理痛がヒドイって演技をしながら。

夜が明けて、勤務が明けるくらいの時間がちかづいたら、体調不良を理由に早く病院を出るつもりだった。

…そう思ってたけど、廊下で冷えたせいなのか、お腹の痛みがマジで増してきた。

それでも仕事はある程度しなきゃならないし、セリカの元に行かなきゃならない。

「小西さん大丈夫?顔色悪いわよ?!」

「う、うん…ちょっと…」

「やだ、生理痛がヒドイって言ってたもんね?辛いなら早くに帰ったら?」

「あ、でも…まだ仕事があるし…」

先に誰かが提案してくれるのは願ったり叶ったりだ。でも一応断るフリを見せて、怪しまれないようにしなくちゃ。

でも周りの看護師達は気を使って早退を勧めてくれた。

「仕事なら平気よ。電車も、もう動いてるでしょ?」

「そうよ、無理しない方がいいわよ」

「じ、じゃ…」



『帰ります』

そう言おうとした時、ドアが勢いよく開いた。





「赤ちゃんが…森島さんの赤ちゃんが居ないの…!!!」