妙な事になった…


あたしはかなり精神的に不安定で、軽くウツ状態だったのかもしれない。

日によって、どこまでも心は墜ちてゆく…

それはもう自分の力ではどうにもならないくらいの底なし沼にハマる感じだ。

あの夜も、あたしはどうかしていた。

虎之介が憎くて仕方ない
会いたくて仕方ない

仕返ししたくて仕方ない

目覚めたら──全てが夢であってほしいのに叶わない。

何故、あたしだけが不幸なの?
何故、彼らだけが幸せを掴んだの?
あたしが何かした?


そんな時、テレビで見た『赤ちゃんポスト』論争。

今のあたしには関係ないけれど…思いついたの。

もし…あの中に子供を入れたら?

きちんと保護されるし、餓死や凍死なんかない。間違っても死ぬ事なく誰かに発見されるだろう。

例えば…例えばよ?

虎之介の子供を連れ出して、あの中に返したら?

無事、虎之介の元に戻るけど──
例え数日でも、子供を奪われる気持ちを味わってほしい。

彼らは数日で無事、子供が返ってくるけれど

あたしの子供は二度と返ってこない。

あたしの苦しみに比べれば…可愛いものよね?
ちょっとしたイタズラよね?

それくらいに思っていた。