「琉嘉…」

「貴女は?『中森セリカ』ってのは本名?」

「そう。ホントは漢字で'瀬里香'なんだけど。ねぇ琉嘉は何歳なの?」

「22よ」

「あたしと同い年?!」

「そうなんだ?知らなかったな…あ、もう出るわよ。私についてきて」

「うん」

セリカは素直に返事をして私の後をついてきた。
私は誰にも見つからないように辺りを注意しながら外へ出た。

静まりかえった深夜の空気。

外に出てセリカは振り返って言った。

「琉嘉、ホントにいいの?犯罪者になるかもしれないんだよ?」

彼女は念を押すように言った。

彼女はちゃんと覚悟が出来てる…
そう思うと、運命を共にしてもいいかもしれないと感じていた。

あくまでも
『ちょっとしたイタズラ』

だけど命がけで本気の私達の復讐───バカげてるかもしれないけど

本気で実行する気でいた。

「いいわよ。私、決めたから」

「分かった。迷惑かけると思うけどヨロシクね」

彼女は軽く頭を下げた。そして帽子を深くかぶりなおし歩き出した。

「じゃあね、セリカ。また明日」

暗闇に消えていく彼女の背中に向かって私は小さな声で言った。