「多分私達が疑われる事はないと思うけど、念のためにね。そして私をクビにはさせないわ。もし言うことを聞かなければ…」

「まさか子供を殺すとか!?」

セリカが目を丸くさせて、あんまりにも真剣に聞くので私は思わず吹き出してしまった。

「サスペンスじゃないんだから!貴女も言ってたでしょ。これは'ちょっとしたイタズラ'なのよ?ただ脅すだけよ」

「騙すって事?」

「まぁね。彼にとってこの病院で…しかもVIP患者の赤ん坊が誘拐されたってだけでも死にたくなるような事件でしょうけどね」

「貴女は…それでいいの?好きな人だったんでしょ?」

「まさか」

とっさに嘘をついたような気もする。でも、そんな感情はもう忘れていってる。

全然平気よ?

「あたしは…どうすればいいの?」

「今夜の所は帰って。実行するのは明日にしましょ?貴女に頼みたいのは…お金を出してくれない?」

「何の為に?」

「私名義で別にアパートを借りる為の敷金礼金、もちろん貴女にも一緒に住んでもらうわ。あとはしばらくの生活費が欲しいの」

「分かったわ。それなら任せて。とりあえず…500万くらい?」

「えっ、そんなに必要ないわよ!」