『横川総合病院』

私はその病院に勤める看護師だった。

でも勤めた年数は浅い。看護師としての腕も未熟だと思う。

──それが何故?

正己と夜の病院でSEX撮影会をしている。

それも週イチくらいで。

…何で私、正己と身体の関係を持つようになったんだっけ?

最初のきっかけって何だったかなぁ?

ついさっきまで
頭が真っ白になるくらい快楽に身を委ねて
天国にイっちゃうくらい気持ちが昂っていたのに

身体に残る熱が冷めないのとは対照的に
気持ちは驚くほど冷静になっていった。

正己との最初を冷静に思い出そうとするくらいだもん。

──あぁ、そっか。

彼に恋してないからだ。だから気持ちが萎えるのも早い。

ちょっとだけ虚しさを感じるのも事実だけど、だからって彼を好きになろうとは思わなかった。

…だって、彼は奥さんがいるんだもん。

だからってワケでもないけど、私達は極めてドライな関係だった。いわゆる『セフレ』ってやつかな。

不倫とか
面倒くさいじゃない?


あんなに身体を求め合ったのに、急激に冷めるのは彼も同じ。

彼は、今撮影した映像を確認しながら言った。

「琉嘉、このビデオ売ってもいいかなぁ?」