その事は当然、マスコミに知れ渡る。
当然あたしはワイドショーの恰好の餌食になった。

毎週のように話題を提供してやったわ!

こんなあたし…価値なんてないんだから!




やがて、仕事が減っていった。オフ日の方が多くなっていく。

「遠藤さん…次の仕事は?」

「もうないわ。セリカ…貴女にくる仕事なんてないのよ」

呆れたように
突き放すように
遠藤さんは答えた。

あたしは…どこまでも墜ちていく気がした。




数ヶ月後、仕事も無く家に引きこもるようになった時

虎之介に男の子が生まれ彼が父親になったと報道されていた。

幸せそうな彼と彼の妻。…そして、幸せそうに両親の愛情に包まれて寝顔を見せる赤ちゃん。

それに比べて…あたしは独りで部屋のTVから見てるだけ。

どうして、あたしじゃないの?

どうして、あたしは不幸なの?

──どうして
人を裏切った彼らが幸せそうに笑っていられるの?

あたしの赤ちゃんは生まれなかった。

生まれても、人並みの幸せなんて手に入れられなかった子供…

どうして
こんなに違うのよ!

何でも手に入ると思っていたのに、おかしいよ!


あたしは静かに
確実に狂っていった…