【ファンメール◆オマケ③】




前々から思っていたが、この人のどこが「フェロモン男子」なんだろうか。美姫は疑いの目で嬉しそうに走って来る男を見つめた。


両手にサイダーを持ち、懸命に振り回している。


…飲む気が失せる。


「お待たせ美姫ちゃん…っ」


「……。」


「はい、美姫ちゃんの分。はぁ、喉乾いたー。…あれ?なんで離れて座るの?」






ブシュゥゥウゥーー!!!!!





案の定。

天然バカは自分のサイダーで全身びちょびちょ。



「うわ…。俺またやっちゃった…。」


髪の先からしたたる水滴が艶やかに光り、シャツがうっすら透けている。

ぺったりと張り付く鎖骨や胸板が思いの外たくましくて、美姫はタオルを探す手を止めてしまった。



「勿体無いや…」と自分の腕を下からゆっくり、真っ赤な舌でペロリと舐め上げ、眼鏡の奥の目線だけ「ん?」と美姫の方に移した。


その瞳がやたらエロい。



「あぁ、タオルありがとう美姫ちゃん。」


「…。」


「参ったよー。この前これ新商品の炭酸おしるこでやっちゃってさぁ。」


全身おしるこだよーと笑う純一の言葉を遮り、美姫は胸に手を当てる。


「先輩。」


「ん?」






「10分でいいんで黙ってて貰えますか。」



「ぅえ!なんで!!泣」











崇城純一、黙っていればフェロモン男子。