病院の中に急いで入ると、航也が焦った様子でオレに叫んだ。
「しょーとッッ・・・こっち!!!」
航也が手招きしたほうへ全力疾走した。
早く・・・早く。
ちひろの顔が見たい。
「あ・・・翔斗くんね・・・。
いつもちひろがお世話になってます」
そこにいたのは、ちひろの母さんの・・・
ユミコさんだった。
“手術室”のランプがついている。
「手術はまだ始まったばかりらしいの・・・。
待つしかないわ」
ユミコさんが目に涙を溜め、そう言った。
「ちひろぉっっ・・・
なんでぇ・・・ッッ!!」
真麻菜は大粒の涙をこぼしている。
航也の目からも、度々涙がこぼれていた。