「いらっしゃいませ…何名様ですか?」

「5人だ。」

「喫煙席と禁煙席、どちらに?」

「…じゃあ喫煙席。」

「はい。では、34番テーブルへ。」


冴えないフリーター、祐典(19)

自分ではそう思っている。

朝の9時にバイト先に行って

13時まで働くのが俺の日課。

愛想をまくのは仕事中のみ。

俺は基本無愛想だ。

人に笑顔を見せるのが得意じゃない。

けど、笑顔を見せなければ

お客に嫌な思いさせちまう。

仕方なくと言うわけじゃないが…

まあ…仕方なく…。

「いらっしゃいませ…。」

「…3人。禁煙席は空いてる?」

「はい。あちらの窓側の席です。」

「ありがと。行こ!」

昼時ともなれば、店内は満席になる。

ファミレスだし無理も無い。

「ゆうちゃん!」

「!…はい!」

厨房へ行き、出来あがった料理を運ぶ。

「お待たせしました。」

最初は料理運ぶとか無理だった。

危なっかしいって言われた。

今は何とか運べるようになった。

成長…だな。

また新たに入って来たお客を席へ案内する。

そして料理を運ぶ。

お客のレジを担当し、片付けをする。

そしてまた案内をする。

大体そんなことを繰り返す。

俺は記憶力が悪い。

だから何番テーブルと言うのが

何処にあるのか

分からない。しかも、未だに(笑)

笑い事じゃないんだけど…。