好きなヒトの好きなヒトが自分の親友だった、ってハナシはよくある。けど、それはお話の中で、実際そうだなんて思ってもみなかった。


走って、走って、ついたのは近所の小さい公園。ブランコに1人で乗り、ため息をつく。

「はあ…」

あかりって連のことどう思ってるのかなあ…とか好きなヒトいるのかなあ…とか。
(失恋した…)


失恋したことって、失恋した人にしかわかんないんだなあ…。


ちょっと涙が出てきた。それからあたしは2時間くらいずっと泣いた…

いつの間にか空が暗くなってきて、あたしはブランコを降りて公園を出た。
家の前に着くと、20メートル先くらいの十字路に数人の男が通り過ぎるところだった。
そして、腕をつかまれて無理矢理連れて行かれる女子。

「…綾香??」

一瞬のことだったので、綾香かどうかわからない。けど、綾香があんなにガラ悪い男たちといるはずがない。ていうか、まず男子に近づかないはずの綾香が…


でもやっぱ気になる。


ダッシュで見に行くと、ちょうどさっきの男たちが車に乗り込むところだった。くらくてよく見えなかったけど、多分さっきの女子ものったはず。

失恋したショックより、今のほうが大きい…かも。だって、あれ…多分、うちの制服。しかも、無理矢理引っ張られてた。で、ちらっと見えた感じでは綾香。

「…見間違い、だよね…??」

自分に言い聞かせた。けどやっぱ気になる…
綾香、どうしたんだろう。

「やっぱだめだあ…」

やっぱ今日の失恋は大きい。そればっか考えて別のことが考えられない…

「寝よ…」

あたしは家に入った。