「馬鹿だな
 白くて綺麗な肌が
 台無し」

そう言って、彼女の刺青
にキスをした。

彼女の首筋にキスをした
 
そして、唇にキスをする

黒いジャケットを脱ぎ
柄シャツを脱ぐと

庵の背中には地を這う
ような大きな黒い降り龍
が棲んでいた。

黒龍を飾ってあしらう
ものは、何ひとつ無い。

一対であるはずの登り龍
さえ、どこにもいない。
  
ただ、庵の背中一面に
地の果てまでも降ろうと
する黒龍がいるだけ・・

その背中に触れる朱莉の
白い手が白蛇のように
庵の体に纏わりつく。

「愛して、イオリ」