手っ取り早く、お金が
欲しくて、この世界に
身を置いた事を思い出
していた。

タクシーに乗車する
二人。

「コウちゃんも一緒に
 どう?」
 
「私はこの後ちょっと
 野暮用がありますので
 お店の戸締りを
 もう一度確認してから
 帰ります」

「じゃあ
 お願いするわね」

タクシーの中、窓の外を
眺めながら朱莉は

ピンク色に染まった頬に
そっと、手をあてた

「今日は
 飲み過ぎちゃったわ」

黙っていた庵は

朱莉に聞いた。

「なんで
 あんな奴といるの?」