朱莉は、庵を見上げて
微笑んで言う。

「お店の片付けが、まだ
 少し残っていますので
 私なら一人でも大丈夫
 ですから、イオリさん
 帰って頂いても
 構いませんよ」

「いえ、それでは
 会長に叱られます」

「じゃあ
 お店の中へどうぞ
 
 紅(コウ)ちゃん
 イオリさんにお酒を
 出して差し上げて」

裏で片づけをしていた
スタッフの紅に
お願いする、朱莉。

「いえ、酒は・・・」
  
「いいじゃないですか?
 帰りはタクシーですし
 少しぐらい召し上がっ
 ても、ねぇ
 
 私は、帰る支度を整え
 てきますので
 お相手できなくて 
 ごめんなさい
 
 コウちゃん
 後は、よろしくね」