菫の部屋を、静寂が包む・・・
    
見つめ合う二人・・・

微かに聞こえる。

降り出した雨が窓を打ちつける
音が聞こえる。
       
そのリズムを刻む

優しい雨音は
  
とても心地よくて
私の胸の鼓動と重なる。

「やっと、私の事

 見てくれたね」

庵は、いつもと雰囲気の違う
菫に、照れくさそうに告げる。
           
「すみれ、綺麗だよ」

私が、髪留めを外すと
長い髪が落ちて揺れた。
   
その髪を、庵が右手で
掻き揚げる。
      
そして、右側の首筋に
唇をあてて吸う。

それはまるで

吸血鬼が血を吸うように・・・