「イオリ、痛いよ
 放して、放してよ」

庵から放された私の腕は
薄っすらと赤くなっていた。

「何してるって聞いてるんだ
 答えろよ」

「イオリには、関係ない」

私は、庵から顔を逸らした。
      
彼の口調が、さっきよりも
優しくなる。

「俺に黙って、ずっと
 ここで働いていたのか?
 
 どうして何も言わない
 
 何か言えよ
 
 言わなきゃ、お前の事
 何も分からないだろう」

悲しそうな顔をする庵を
見つめていると

この胸が苦しくなるよ。