「スミレさん、ありがとう
 本当に助かるわ
 勝手なお願いをして
 ごめんなさいね
    
 そうだ、イオリには、私から
 ちゃんと事情を伝えて
 おくわね
    
 その方がいいでしょうから」

「いえっ、イオリには
 言わないでください
 彼には関係ないことなので」

そう言い放つ、菫の強い眼差し
に、朱莉は何も言えない。

「そう・・・まぁ、先代も昨日
 の今日で、お見えにならない
 でしょうし、イオリは
 ここへは滅多に来ないから
    
 今日一日だけの事だし
 スミレさんがそう言うのなら
 知らせる必要は無いわね
    
 さぁ、そうと決まれば洋服は
 どれがいいかしら
    
 目一杯、お洒落しなくちゃね
 名前は、どうしましょう」

彼女は、私がお店に出る事が
嬉しいのか

とても、はしゃいでいた。