少し顔を上げて、隣にいる先輩の横顔を覗いてみる。
先輩の少し長い前髪が、風に揺らされフワリと浮かんだ。
それだけでもドキンとするよ。
「なに?」
あたしの視線に気づいた先輩が、あたしの瞳に覗いてる。
「うぅん。なんでもないです」
慌てて言うから、先輩はクスッと笑うと、繋いだ手をギュッと握り締めた。
バクンバクンと鳴り響く鼓動。先輩に聴こえてしまいそうだよ。
「着いた。ここだよ」
先輩がそう言って立ち止まり、指差した場所は
「ここ、テレビで観たことある」
この春、できたばかりで話題になった水族館だった。