少しだけ、顔を上げて先輩の顔を見上げた。
あたしの視線に気づいた先輩は「なに?」とあたしを見つめた。
間近で見る先輩の顔がカッコよすぎて、あたしは何も言えなくて首を横に振って俯いた。
しばらくして、時々、少し離れた場所にいた大学生ぐらいの年上の女の人2人組が
先輩をチラチラ見ながら何かを話している事に気づいた。
あたしは、気になって、聞き耳を立てると、彼女達の声が聞こえてきて。
「ねぇ、あの子カッコよくない?」
「カッコいいよね。声かけてみようか?」
先輩がモテる事を改めて知った。先輩…背も高いから余計に目立つし。仕方ないか。気にしない。気にしない。
そう思ったあたしの耳に聞こえてきた言葉
「けど、一緒に女の子がいるよ。あの子って、彼女なのかな?」
「そうなのかな?あんま可愛くないね。なんか似合ってないっていうか」
「だね」
そんな彼女達の言葉があたしの胸に突き刺さった。