先輩は、ふぅ~と大きくため息をこぼした。

そして、また、あたしの瞳をジッとまっすぐ見つめ。静かに口を開いた。


「確かに…俺はずっとアイツの事が忘れられなかった。」

それは、前にも話したよね。と言う先輩に、あたしはコクンと頷いた。


「俺は、ずっとアイツしか好きになれない。そう思っていた」


うん…。分かってるよ。あたしは黙って先輩の言葉に耳を傾けた。


「ヒカリから告白されて。嫌われるようにワザとキスをした。ヒカリみたいに純粋な子は、あんなキスを嫌がるとおもったから…」


やっぱり…あのキスはそういう意味のキスだったんだ。


分かっていても。先輩の口から聞くとやっぱり傷つくな…。


「分かってました。あたしに…キスした時の瞳。言葉にできないぐらい切なかったから…」


あたしの言葉に、そうか…と、先輩は俯きながら両手を組み合わせると



「ごめんな。嫌な想いさせて。ごめん」


俯いたまま言った声は、胸がギュッと締め付けられるぐらい切なかったんだ。