溢れそうになる涙をこらえて、先輩の顔を見上げた。


重なる先輩の瞳に、捕らわれそうになるあたしの心。


「あたしの事…好きじゃないなら、これ以上あたしに構わないでください」


俯いて言った。先輩から離れるように、一歩ずつ後ずさり。だけど、先輩は離れるあたしに近づいてくる。


どうして先輩が、こんな事をするのか分からない。先輩が何を考えているのか…分からないよ。


「先輩…ずっと忘れられない人がいるんですよね…」


「あぁ…そうだけど…」


自分で聞いたのに。先輩の言葉でまた傷付く自分がいた。

「じゃあ、さっきの先輩は?」


「さっきのって?」


「綺麗な、先輩ですよ。」


あたしの言葉に、先輩は距離を縮めながら、ただの同級生と答えた。