突然、制服の裾を掴まれた先輩は、なに?と振り返った。


その先輩の顔を、パンッ…とひっぱたいた…。

瞬間、先輩の顔が痛みで歪んだ。


目にいっぱいの涙を溜めたまま先輩の瞳を真っ直ぐ見つめた。

先輩は、あたしの瞳から視線を逸らした。

だけど、それでも構わない。

「先輩…。こんなのって…ひどい。ひどいよ…先輩…」


あたしを諦めさせる為に、キスしたんでしょう?あたしが、先輩の事を嫌いになるように…わざとキスしたんでしょ…


そんな理由でキスするなんて…


「先輩って…イジワルだよ…あたしの…ファーストキスだったのに…」


「えっ…?」と先輩の声が、聞こえた気がした。

だけど、あたしは、そのまま先輩の制服の裾から手を離して何も言わず走り出し…屋上を後にした。