固まって、グチャグチャな心で先輩を見ていたあたし。


先輩は、そんなあたしをフッと見つめてこう言った。


「だから、言ったろ?俺なんてやめておけって。俺は、好きでもない女にキスできる男だぞ」


先輩の言葉がズキンズキンと心に突き刺さる。


目には、あんなに泣いて止まったはずの涙が溢れていた。

泣きたくないのに。涙が止まらない。

「ほら、俺を好きだと、また泣く事になるぞ。今のうちにこんな俺の事なんてやめておけって。なっ?」


先輩は、そう言うと背中を向けてまた歩き出した。


こんなのって…ない…。こんなのってないよ…。


あたしは唇噛み締めて駆け出し、立ち去ろうとする先輩の制服の裾をギュッと掴んだ。