「だから、ヒカリをお前に渡すつもりはないから」


先輩は、永井くんを真っ直ぐ見ると、力強い声でハッキリと言った。


永井くんは、先輩を真っ直ぐ見据えて…フッと笑うと


「分かったよ…もう、近づかないよ」

先輩にそう言うと、あたしの顔を罰が悪そうな顔で

「怖がらせて、ごめん」


そう言って、頭をペコリと下げて帰っていった。


永井くんが帰ったあと

なんか…いろんな事があって…頭の中がグチャグチャになってクラクラしてきて。

ペタンと地面にしゃがみ込んだ。


「ヒカリ、大丈夫か?」


先輩が、慌ててあたしの顔を覗き込んだ。


「あ…うん。大丈夫…ただ、混乱しちゃっただけだから」