永井くんの言葉に、あたしの顔をチラッと見る先輩は
「ごめん…不安にさせて…本当にごめん」
あたしに頭を下げた。
あたしは、何も言えなくて…泣きながら、首を横にブンブンと振った。
「ちゃんと…話してきたから…」
「うん…」
「アイツな…モデルの仕事…上手くいってなかったみたいで…弱気になって、俺に会いたくなったって…」
そうだったんだ…
「アイツ…謝ってた…。ヒカリに、悪い事したって…もう二度と会いに来ないって…俺も、もう二度と会わないから」
「うん…」うん…先輩の言葉にただただ頷いた。
先輩の言葉にウソはない。
先輩の瞳は、真っ直ぐで、ウソなんかつける瞳じゃないから…。
あたしは、先輩の言う事なら、それがどんなに他の人から見ておかしいって言われても、あたしだけは、信じるから。
「俺に、いっぱい気持ちぶつけたら、アイツ…スッキリした顔で帰っていったよ」
「そうなんだ…うん…よかった」
先輩が戻って来てくれた。
「その事、早くヒカリに伝えたくて…ずっとヒカリを探してたんだ。早く…安心させたくて」
その言葉だけで、十分だよ。