そして、きょうの放課後。あたしは日直で遅くなる美空を待つ間、久しぶりに屋上に来ていた。


もしかしたら、また市川先輩に会えるかもしれない…。


なんて…。会えたからって、ただ胸が苦しくなるだけなのにね…。


「あぁ…あ…。なんであたし、先輩の事、好きになっちゃったんだろう?」


叶うはずのない恋。あたしがもっと可愛いかったら、まさかの奇跡で先輩の心が動くかもしれない。

だけど、あたしの顔じゃ…それも無理。

あの日の優しい先輩の瞳と、力強い腕のぬくもりが忘れられないよ。


先輩にとっては、どうでもいい事だったと思う。


だけど、あたしには大切な想い出になっていた。


あたしの、大切な想い出。