だけど、市川先輩は、まだ優花先輩の事が忘れられなくて告白を断っていると。
「市川先輩が誰とも付き合ってないのは、今も優花先輩の事が好きだからだと思うんだ」
現に、そう言われて最近振られた先輩がいると教えてくれた。
あたしはただ「そうなんだ」と強がって笑う事しかできなかった。
そっかぁ…。市川先輩、まだ、その優花先輩が好きなんだ…。
まだ一度も会った事がない人の事を想像しては、胸がズキズキと痛んだ。
その事を聞いたあたしは、何度も市川先輩の事を諦めようとした。
そんなに好きな人がいるのに。
ましてやあたしみたいな特別可愛くもない女の事。好きになってくれるハズはないと。
これ以上、好きになる前に忘れよう。
市川先輩の事を頭の中から消し去ろう。
あの日のドキドキをなかった事にしよう。
そう何度も思った。
だけど…できなかった…。