美空の話しによると先輩は、中学の時からやはりモテていたと。


 やっぱり。そうなんだ。そうだよね。あんなにカッコいいんだもん。


そして、あたしは前から気になっていた事を聞いた。


 それは、先輩が中学の時、付き合っている彼女がいたかということ…。

 そして、美空の答えは

「うん。いたよ。凄く綺麗でお似合いだったよ」



「そっかぁ…」

 美空の言葉に体中の力が抜けた気がした。


やっぱり…そうだよね…。分かりきっていた答えだったのに。胸の奥がチクリと痛んだ。

そりゃ、そうだ。あれだけカッコいい人に今まで彼女がいなかった方がおかしい。

「まぁ、あたしは他の先輩が好きだったけど」

 と笑う美空に、あたしは「そうなんだ」と言う事しかできなかった。

分かっていたじゃない。そう自分に言い聞かせる。 だけど…。やっぱりショックだな…。

賑やかな廊下。壁にもたれながら俯いていた。


「大丈夫?やっぱり、言わなきゃよかったかな?」


美空は、ごめんねと謝りながら、あたしの顔を覗き込んだ。

「ううん。聞いたの、あたしだし気にしないで」


強がって笑った。