あの日から、本当に笑えているのか分からない


柚舞の前では、笑顔でいたいって思ってるけど、いつも通りに笑えているのか分からない


俺はちゃんと笑えてるのかな?


柚舞が俺に何かを言ってから、俺の前を去っていく


待てっ!!

そう言いたいけど声が出ない


柚舞の手を掴もうとするけど、掴めずに柚舞の手はすっと擦り抜ける


そして俺の前から消えていく


自然と涙が流れ落ちる


待って!!

待ってくれっ!!

柚舞ぁぁぁぁ!!!!



「んっ…」


夢…?

良かった…


今見た嫌な夢とは、裏腹に日が昇りはじめた朝は、小鳥の声が響いている


夢から覚めた俺は汗びっしょりで、嫌な感じを断ち切るためにシャワーを浴びる

まだ家族は起きてなくて、家のなかはシーンとしていて音一つしない


俺は、落ち着かせるために棚からコップを出して水を飲む


飲み終わって、シンクの中にコップを入れようとすると


ガッシャーンっ


コップが手から滑り落ちて大きな音をたてて、フロアで粉々になる


コップが割れた

ただそれだけなのに

なぜか冷や汗が流れる


普段なら、こんな冷や汗が流れりしない

嫌な想いを感じながら割れたコップを片付ける


何か嫌な事が起こる

柚舞に何かあるかもしれない


ただふっと思った事は、現実となる


そんな事は誰一人知らない