翌朝、「みんなごめんな、今日お弁当つくれなかったから、手、出して」母は、8コの小さな手に5銭づつのせた。「今日は、これで、パン買ってから学校いってな。」
「おお!こういうの憧れてたんだよなあ~」「馬鹿か!」「だって金持ちみたいじゃん」「・・・で、絹代姉さんは?」「3日ばかり、検査しながら入院だって・・・でも、すぐ、帰ってくるから!さあ、行った行った!パン買う時間なくなるわよ。」
・・・いつものように、子供たちが飛び散るように学校へ走りだした。
・・・昨夜の血だらけの布団を片付けようと部屋に入ると・・・布団は隅に寄せてあるものの、キレイに血の跡は拭き取られ、部屋の中も片付けられていた。「・・・イネだわ・・・」・・・みんなが寝静まった後、一人で後片付けしておいてくれたのである。・・・母は、玄関から出て、子供たちが学校に向かって走っていく道に向かって合掌した。・・・・ありがとう・・・