コン、コンコン・・・ゲホゲホ・・・コンコン・・・「母ちゃん、絹代姉ちゃんの咳で寝れないよ・・・」「・・・絹代、こっちの部屋へおいで・・・・」・・・絹代姉さんは、二番目の姉さんで、色が透きとおるように白く。体が弱かった・・・「イネ、明日、酒田診療所やってたっけ?」「・・・明日は・・・休みだよ。」「・・・そうかあ・・・」ゲホッゲホっ・・・ゴボッ!「母ちゃん!絹代姉ちゃんが・・・」布団中、絹代の吐いた血で真っ赤に染まっていた。家族誰もが凍りついた。「・・・・かん太!隣のおじさん起こして車出してもらえるよう頼んでこい!」「・・・わかった!」血だらけの絹代を抱えて父が家から飛び出していった。母もカバンをわしづかみにして、追っかけて行った。・・・残された子供たちは、固まって布団の上にジッとしていた。
 ・・・どれくらい経ったのだろうか、しばらくして、かん太が一人戻ってきた。「おじさんの車で大きい病院に行った・・・学校があるから、寝てろって・・・」「・・・寝てろっていわれてもなあ・・・」・・・心配しながらも、やっぱり子供である。あっという間にみんな、寝付いてしまっていた。