少しずつ暖かくなってきた4月。
あたし、三月 悠亜(みつき ゆあ)は真新しい高校の制服に身を包み、
家を出ようとしていた。
「お母さん、行ってきまーす!」
いつもの通り、母にあいさつをして…
「行ってらっしゃい!気をつけてねー」
母に見送られ…
いつも通りに初登校をする………はずだった―。
ガチャ。
大きな黒い玄関のドアを開けたときだった。
「「「行ってらっしゃいませ。プリンセス。」」」
ざっと数えて30人…
黒いスーツを着た、男性たちが隙間なくきれいに並び
あたしを見ていた。
数秒間の沈黙の中、男性達はピクリとも動かずきっちりと並んで笑顔でこちらを見ていた
「……………。 ガチャ」
あたしは動揺して、ドアを閉めてしまった。
「なっ、何なのあの光景は…」
夢かこれは!?そうなのか!?!?
そう思って、思いっきりほっぺたをつねってみたけど…
「痛ったぁ…。」
ただ、痛くなって頬が赤くなるだけだった。
「よしっ。」
あたしは気合をいれて、もう一度ドアをそぉーっとあけてみた
「行ってらっしゃいま…… ガチャ」
「な、な、な、何なのあいつらーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その時、家中にあたしの声が響いた――。