そこに居たのは


息を切らしたカズヤだった。


『は?テメー誰だよ。』




『だから
こいつの彼氏なんで。
連れて帰ります。』


グイッ…



「ひっ…!」




『ちょっ…待てよ!』



ガンッ…!



『………っ…!』




『二度と近づくな。』



「………………」



カズヤに殴られたお兄さんは逃げてった。



「高2に負けるなんて
ダッサイねーっ!あはは…」


明るく振る舞って見せたが
奴の顔は強張っていた。



「あ…、ありがとう…。」


『お前…、これ。忘れてた。』



「………あ!!……ハンコ…!」




『バッカじゃねーの!!
面接だってのに大事な物忘れて…。』



「す、すみません…。」



『大丈夫か?』



「え……?」



『足、震えてるから。』



「そ、そうかな…。」



本当は…


怖かった…。


カズヤが来てなかったら


きっと今頃あたし…



「カズヤ…ありが…」



突然カズヤの匂いに包まれる。




「カ…ズヤ?」



『震え…、なくなるまでこーしててやるから。

 泣くなら泣けよ。』