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「お待たせ。
行こっか。ナルミとはあっちで待ち合わせだから」



『ちょ、貸して。』


カズヤはそう言って
あたしからかばんを奪うと
自転車のカゴに入れた。



そして自転車に跨がる。



『後ろ、乗れよ。』



いつもより低いカズヤの声。


なんだかかっこよかった…



「あたし重いよ?」



『知ってるから早く乗れよ。
待ち合わせに遅れんぞ?』



一瞬カチンと来たけど
それも全部カズヤの優しさだ。


「はい、乗ったよ?」



『ちゃんと捕まってろよ?』



「ラジャ!」





カズヤの大きな背中に
少しドキドキしながら

あたしはカズヤの後ろで

夏のムシムシした中の


あたしのブラウスに吹くちょっとだけ涼しい風を感じていた。





『マイと居ると
なんか……もらう。』



「え?聞こえない…っ」



風のせいでカズヤが何言ったか全く聞こえなかった。


『もー言わねー』



カズヤが漕ぐスピードを上げた。



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