『こんな風に共感や同情という餌をバラまき、引っ掛かった女に会う約束を持ち掛けて金を騙し取る。』



そう言った水月には全ての女に対して常に当て嵌めている存在が居た…。



自分を産んだヤツの面影…。



顔など覚えていない。



だか、1つだけ確かなコトがあった。



その女の左手の甲には火傷の痕…。



水月への虐待の時に自らも傷を負ったらしい。



園長から聞かされた紛れもない事実…。



これを便りに水月は復讐を誓った。



だから幼い頃に俺を産んだヤツと同性である女という存在を敵として認識するようになった。



アイツのせいで生まれた瞬間から狂わされた未来…。



ーーだから俺には夢なんて美しいものはない…。



輝かしい未来も必要ない…。



あるのは過去に縛られた醜い記憶だけ…。



俺の汚れた未来は忌まわしい過去にしかない。