私はそっと顔をあげる。

前にいたのはは津浪くんだった。

「お前なんで無視すんだよ!」

津浪くんはポンと私の頭を叩く。

「……。」
「なんか言えよな。」
軽く睨んで、手を上げた。

私は、思わず目を瞑る。
叩かれるって思った。
いじめられっこの本能だろうな…。


でも津浪くんは私の頬をツンツンした。

何この人…。
私の事キモいとか言わないの?

「ま、いいや。これ食う?」

そう言って差し出されたのはイチゴミルクパン。
ではなく、白イチゴミルクパン。

このパンは高いんだ。

いつも食べてみたい…。

て思うけど高くて諦めるんだ…。

「お前いつもコンビニでこれ見てるだろ…?」


「なんでそれを…!」

私は思わず大きな声を出してしまった。

一瞬びっくりした津浪くんだったけど、すぐに続けた。

「俺、いつも朝の8:00まであそこでバイトしてんだよねー。ピアスも外すし、髪に黒スプレーしてっから分かんないか…。」

にこっと微笑む津浪くんを見て、少し戸惑いながらも私はコクンと頷いた。


「てか梨麻さ、大きい声だせんじゃん。そんな出せるならその大きさで『レジ袋いりません』て言えよ。あれ困るんだからな?」

「あ、すいません…。」