「お父さん…。」

そこは病院で私はベッドに寝ていた。

ガラス越しにお母さんとお父さんがいる。

きっと集中治療室にいるんだ。

だってガラス越しだもん…。

そして一人の男の子が走ってきてガラスの前で立ち止まった。


「…津浪くん。どうして…?」

何か口をパクパクしているけど、音は聞こえない。

映像がみえるだけ…。

私はもっと見ようとしゃがみこみ、何かできないかと水溜まりを触った。


すると今までの映像は一瞬にして消えた。


「君はこれからどうしたい?」

おじいさんは私に言った。

「また元の世界に戻るのか、死の世界に逝くのかどうしい?」

向こうのほうにぼやけながら扉が2つ見える…。


元の世界に戻るって、またあの生き地獄に行くという事?

死の世界に逝くって死ぬんでしょ?


ここで私はようやく状況を理解した…。