―この頃おもしろいことないし暇だな…


依頼を確認していた携帯とはまた違う携帯を使ってインターネットを見ていた。
基本仕事用の携帯と普段使う用の携帯と念のため常備している携帯、あわせて3つを持ち合わせていた。
3つ目はもし変な情報屋などにメアドや番号がバレた時すぐに変更できるためであった。
といっても情報屋も昔は多かったが今は少なく、知識の多さについていけなかったのかゼロに等しいくらいなのであまり心配することもないと思ったが念のために、だ。


そして携帯をパチッと閉め、ある方向へと向かい始めた。


―――――………・・



その頃入学式を終えた後の泉下高校の職員室では教科書の冊数確認やプリントの印刷などで慌ただしい人が多かった

だがそんな中に一人まぎれて自分の席でパソコンを打つことに必死になっている者がいた。

「あれ、柳先生は仕事しないんですか?」

近くにいた教職員の人が柳が今してることを"場違い"なことだと気づき、不思議に思ったのであろう。

「覚えているうちに、確認してるんですよ。」

「確認?」

「はい。生徒の名前を覚えようと思いましてね!」

「ああ、だから」


パソコンの画面を見た教職員は柳の言っていることを理解した。
ワープロ機能を使って生徒の名前をびっしり書き込んでいたといういかにもカオスな画が実現されていたからであったといえる。


「まあ、その、頑張ってください」



―――――………・・



ピンポーン


愛華はとある一軒屋のインターフォンを押した。
すると1秒も経たないうちに扉がキィィという音を連れて前へと開かれる。


「あの、どちら様ですか?」

両手でドアノブを握り締めておずおずと尋ねてくる。


―あけてから警戒すんならドア開けなきゃいいのに

愛華はどうしても人間の矛盾した行動を見ると3割の苛立ちと残り7割の馬鹿らしさとおもしろさを感じてしまう。

「私、別れ屋の暁と申します。すいません、あまりに暇だったんで早くに来すぎましたね。」

笑顔で言うが今の時刻は午後3時。
否定したくてもできないのが現状だ。



「今から話をお伺いしても構いませんか?」