「雄太をとりやがってあの女っ…
絶対絶対絶対絶対絶対絶対!!!!



          許さないんだから!!!!」



――――――………・・



空は雲ひとつない晴天


心地よい風と共に桜が散ってゆく




今日は、泉下高校の入学式である



「えー…してあって入試を乗り越え、我が高校に合格できた者達へ、敬意を込めて、この言葉を送ります。ご入学、おめでとうございます。我々教職員も――…」


頭に一本だけある髪の毛を風に当たらないように片手で押さえて話している校長先生の話であった。


入学式の説明をうけている大抵の者はこれから自分達が進んでいく"新しい世界"へ喜びと期待を込めて真剣に聞いているであろう…が、


―何あれ、句読点多すぎだろ。本当困るんだよね、私たちのこと何も考えず言葉という名の上辺だけで適当に話す奴。しかもなんか長いし。


中にはその説明を不服に思う生徒もいた。


―ってかなんで髪一本しか生えてないの?波兵ヘアーか?てっぺんど真ん中に見せているってことは波兵象徴してんのか?でも私は突っ込まない。なんか悔しいし。


その生徒の名前は園原愛華。
腰あたりまでの髪をもち、半開きにした目を校長の方へ睨みを放ちながら向けている。
この物語の主人公であり、個人で別れ屋を運営している者である。


その後、何十分にも渡る校長の話を聞かされ、さすがにそろそろ皆飽きてきただろう…
そんな時、それを見計らったかのように校長は話を一区切りつけ、小さく深呼吸をした。



―よし、終わった



「えーー、中学生活と高校生活では――…」



―まだあんのかよ!



彼女、愛華の思ったことと、全生徒の思ったことが唯一重なり合った瞬間であった。