「大和ーッ?!準備できたの?!」
「まだだって!!ちょっと待てって!!」
「まってるよ!さっきから10分間もッ!!」

バタバタと髪をセットする大和とは対照的に玄関で叫んでいる琥都。
左手の手首には白い包帯が巻かれている。

友達に何人かに、「それリスカ??」と聞かれたが「ファッション」と答えた。
リスカ。と認めたら引かれてしまうような気がする。

「琥都ッ!!終わった!!わりぃ!!」
「本当だよ!!!もう7時30分回ってるじゃん!!」

ムスッと文句をたれても大和はニカッと笑って琥都の頭を撫でる。
すると琥都の頬を朱色に染まる。

「…ばーか、触るのヤメて、」
「いいじゃんー。俺琥都の髪、好きだよ」
「…そ。じゃぁ行こうか??」
「あいよー。」

ドアの鍵を閉めて二人そろって家を出る。
勿論、送りの声なんか聞こえてくるはずはない。

小学生の頃はどうしようもなくそれが哀しかった。
でも、中学生になった今はそれが当たり前のように感じてた。



「琥都ーー。車乗れッ今日は送る!!!」
「ヤダよッ!!大和の運転凄い怖いじゃん!!!」
「遅刻するよかましだろう???」
「誰のせいだよーっバカ!」


思わず大きな声で叫んでしまう。
慌てて辺りを見廻すが誰もいない。
ホッと一息をついて車に乗り込む。

大和は、色々不便だから、と言って車の免許を誕生日を
向かえるとほぼ同時に免許をとった。


車は軽自動車だ、小さいながらもその外見は気に入っている。

大和が車を走り出せると同時に襲ってくるのは不安。
それほどまでに大和の運転は危ういのだ。