「久しぶり!」

「待ってたわよ~、さ、上がって!」

ミユはすっかり母親の顔になっていた。

なんていうか、すっぽりと誰かを包み込む温かいオーラがあふれ出ている。

そのそばにいるだけで、安心できるみたいな。

明るく笑って出迎えてくれたミユの笑顔に、思わず顔がほころぶ。

こんなに緊張せずに笑ったのはいつ以来だろう。

ミユが少したくましくなった腕に抱きかかえられた子供は、マナちゃんという女の子だった。

「マナちゃん、大きくなったねぇ。お初にお目にかかります。」

私は冗談っぽく言いながら、マナちゃんのほっぺをつついた。

うわ、マシュマロみたいにふわふわだ。

かわいい。

「マナちゃん、かわいいねー。」

リビングのソファーに座った私は、心からそう言った。

「ありがとねー。やっぱ子供はいいもんよ。ま、楽しいことばっかでもないけどね。」

ミユはおどけた調子で笑いながら、キッチンへ入っていった。

「冷たいレモンティがあるんだけど、それでいいかな?」

キッチンからミユの声が響いた。

「うん、お願いしまぁす。」

私はすぐに答える。

今日は少し汗ばむほどの暑さ。

冷たいレモンティだなんて、さすが気がきいてる。