でも、気持ちのほんのかすかな場所に、タツヤへの思いが漂っていたのも事実だった。

タツヤが意味深なことを言ってたのを聞いてしまったことも・・・。

「ハルナのこと信じてたのに。なんだかもう信じられないよ。ごめん、これ以上電話してたら、もっとひどいこと言いそう。切るね。」

そして、無残にも電話はすぐに切れた。

私の言い訳も伝えられぬまま。

言い訳?

・・・今更だよね。


私は一体何やってるんだろ。

数時間前、タツヤからの電話で「お礼させて」なんて言って、その後、ナオにおやすみと言われて、そして、アユミに嘘をついた。

言い訳なんかできるわけがない。

やましい気持ちがなかったなんて、言い切れない。

こんなにも自分が不純で浮わついた気持ちになったことなんて、これまで一度だってなかったのに。


調子に乗ってる。

きっとそう。

かっこいいナオとお付き合いして、タツヤに優しくされて。

それで、大事な友達の気持ちを傷つけちゃ、最悪だよね。

絶対最悪。

一番しちゃいけないことしてる。


何度ぬぐってもあふれる涙は止まらなかった。

アユミとの関係。

もう取り戻せないかもしれない。