その日の晩、ナオから電話があった。

そういえば、電話がある日だったっけ。

携帯をとりながら、ふと思い出した。

「もしもし。」

「あ、ハル?元気?」

「うん、ぼちぼちかな。」

「あんまり元気そうじゃないね。声がかすれてる。風邪でもひいた?」

「うん、実はそうなんだ。昨日かなり高熱が出て。」

「え?!そうだったの?もう大丈夫?」

ナオは真剣に心配してくれているようだった。

だから、さすがに病院で点滴打ったとまでは言えなかった。

「実は僕も少し調子悪くて。昨日から咳が止まらないんだ。」

あ・・・。

一昨日は一緒に過ごしたわけで。

私が高熱出たってことは、ナオにもうつってる可能性があるんだ。

「ひょっとしたら、私と同じかもしれないから、熱があったら気をつけて。すぐに病院行った方がいいよ。結構きつい風邪だから。」

「そうなんだ。ありがとう、気をつけるよ。それよりも、ハルこそお大事にね。」

「うん。ありがとう。」

ナオはいつも優しい。

そして、どんな時も私への気遣いを忘れない。

ナオでも、誰かに意地悪な言葉を言ったり、ちゃかしたりすることってあるんだろうか。

タツヤみたく。

今のナオには想像もできないけど。

そりゃ、そっか。

まだ付き合って間もないんだもんね。

早くから意地悪なこと言うような人だったら、こっちから願い下げだわ。


でも、タツヤの場合は最初から生意気な口たたかれてたっけ。