お店は言われたとおり、すぐ近くだった。

ちょっと高級な和風居酒屋って感じ。

カウンターに張られた日本酒のリストも結構な数。

いいじゃんいいじゃん。

休日のせいか、すでにほとんど席はうまっていた。

上着を脱いで席に腰を下ろす。

「よっこいしょと。」

色んな疲れがたまっていたのか、腰を下ろした瞬間大きなため息がもれた。

「あ。」

そのため息に反応したのか、タツヤが私をまじまじを見つめる。

「それ、やめたほうがいいよ。おばちゃん丸出しだって。」

くそ。

おばちゃんおばちゃんって、私はまだ30歳にもないってないっつうの。

ま、あと数ヶ月で30の大台に踏み込むけどさ。

「あんたさ、さっきからおばちゃんおばちゃんって、そんなひどいこと言うんだったら飲みに付き合わないわよ、ほんとに。」

「だってさ、やっぱ俺の憧れのハルナ先輩だよ?おばちゃん街道まっしぐらにはなってほしくないわけよ。」

タツヤは本気なのか冗談なのかわからないような表情で言った。

熱いお茶が運ばれてきた。

一口飲む。

喉から胃の奥までじんわりと流れていった。

ふと、ノボルの顔が浮かんだ。

今頃、新しい彼女さんとよろしくやってるんだろうか。