「二人で飲みにいくのがそんなにややこしいのかよ。」

「ややこしいわよ。誤解を与えかねないっつうの。」

「誰に誤解与えんだよ。俺とアユミはただの飲み仲間の一人。それだけじゃん。」

「だったら、ほかにも誘えば?」

「っていうか、最初に俺の誘い断っといてその言いぐさはないんじゃない?」

・・・。

そうだった・・・っけ。

タツヤは最初、私に誘いのメール送ってたっけ。

で、私が無視して、タツヤはアユミを誘った・・・。

「俺、悪いけど、あの日ねーさんと飲む気満々だったんだぜ。それなのに、デートとかなんとか浮かれちゃって、返信の一つもよこさないなんてどういう神経してんだ。たまたますれ違ったアユミと話ししてて、アユミも夜は暇そうだったから誘っただけだよ。おまえ、その経緯、アユミに話した?」

い、言えるわけないじゃない!!!

だって、アユミはタツヤのこと好きなんだよ?

ふいに頭がくらっとした。

その後、頭の横の方がきーんと痛くなる。

思わず、頭を押さえて「いたっ。」と声がもれた。


「ごめん。ねーさんしんどいのに、こんな話して。もうしばらくゆっくり休んで。俺、落ち着くまで外で待ってるわ。」

タツヤは慌てて席を立つと、病室から出ていった。