タツヤも出先だったらしく、駅前で待っていたらほどなくやってきた。

「ちーっす。」

妙にテンション高い。

いつも高いけど、いつもより少しだけ高め。

「あんたのテンションの高さについていってたら、ほんと疲れるわ。」

「はは、そりゃそうでしょ。おばちゃんだもん。」

「うるさいっての。そんなこと言うならもう飲みに付き合ってやんないんだから。」

私は笑いながらプイと横を向いた。

こんな無礼なことを言われながらも、不思議とタツヤに腹が立ったことがなかった。

それは出会ったときから。

こんなタメ口たたかれるようになったのも、出会ってからそんな時間がかからなかった。

どうして、こんな風になったのかも覚えてないくらい。

ま、私にとっては飲み仲間の中でもかわいい弟分的存在ってとこかな。

「どこ行く?」

こういうのは若い子に決めてもらうに限る。

間違いなく情報の量違うし。

「日本酒?ワイン?カクテル系?」

タツヤは携帯を開けながら聞いてきた。

「日本酒。」

私は間髪入れずに答えた。

「オッケー。俺もそんな気分。」

おそらく飲み屋リストが入っているのだろう。

携帯の画面をスクロールして、どこかのお店に電話をかけたようだった。

「ラッキーっすよ、ねーさん。俺が一番お勧めのお店開いてるってさ。すぐそこだから。」

タツヤはうれしそうにそのお店のあるだろう方向を指差した。